ウィーメックス株式会社

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事例紹介

クラウド電子カルテ事業『きりんカルテ』を Google Cloud へ移行、属人化が進んだ旧インフラにガバナンスを効かせる

ウィーメックス株式会社 デジタルヘルス事業部 
技術基盤部 部長 
Senior Tech Lead  橋本 吉治 様

会社概要

ウィーメックス株式会社は、グローバルヘルスケア企業として事業を展開するPHCホールディングス株式会社(証券コード 6523 東証プライム)の日本における事業子会社です。企画・開発から販売までワンストップでサービスを提供する新体制により、2023年4月1日より新会社として事業を開始しました。「メディコム」ブランドの医事コンピューターや電子カルテシステムの他に、薬局経営のサポートや特定保健指導の支援、遠隔医療システムなどを提供します。国内の「医療DX」を推進するヘルスケアIT製品・サービスを通じて、患者さんへの医療サービス向上と医療従事者の業務効率化に取り組んでいます。

ウィーメックスは、2021年4月に事業譲渡が完了したクラウド電子カルテ事業『きりんカルテ』を、某クラウドから Google Cloud へ移行を行うこととなりました。 Google Cloud への移行後、インフラを含めた運用保守を自社で行える仕組みづくりの実現と旧インフラを移行するための課題、そして内製化の推進施策をご紹介するとともに、今後どのようなサービスを展開していきたいかについて、同社のプロジェクトオーナー・橋本様にお話を伺いました。

内製化を実現するための決断

インフラ構築を一気通貫でセンティリオンシステムにお願いすれば良かったが、内製化を考える上で自社内に知見が残らない点から、今回のような依頼になりました。本番環境の構築は内製で進めましたが、社内に知見がない部分などはセンティリオンシステムに相談しながら進めさせていただきました。

Google Cloud を主軸として、次世代医療データプラットフォームを構築

クラウド電子カルテ事業『きりんカルテ』を稼働させるため、某クラウドから Google Cloud への移行を進めつつ、内製化できるインフラエンジニアを育成する必要がありました。旧インフラの運用では、属人化が進行し手作業ベースでの運用になっており、さらには開発速度の低下、運用コストの増加などが Google Cloud へ移行するきっかけになったと橋本様は語ります。 今回抑えたいポイントとしては、「運用コストを下げる」「属人化が進んだ旧インフラのガバナンス改善」「インフラエンジニア育成」です。 某クラウドから Google Cloud へ運用を進めつつ、まずは内製化できるインフラエンジニアの育成が大前提だと思いました。インフラエンジニアへと転向した人材は、全体を把握しているわけではなく、状況に合わせてインフラ運用を行っていましたがコスト負担が大きく、エンジニアが育たないまま属人化が進行する一方でした。

内製化を推進する施策によって得られた効果

移行後の運用保守を見据えたアーキテクチャから内製化支援まで、今回提案した一部をご紹介します。

◆移行コスト削減および今後のコンテナ化を見据えて、ネットワーク設計を簡潔化した構成
◆常駐VMが必要だった手作業の運用業務を、業務単位でCloud Build化
◆インフラエンジニア部隊で、本番環境の構築を実現

今回は「ネットワークの最適化」「運用業務の Cloud Build 化」「内製化のためのスキルトランスファー」の3つに絞ってのお話しですが、運用保守を見据えた施策を提案いただけたこと、互いに理解を深める時間を充分に設けることができ、結果的に信頼構築にも繋がったと思います。

ネットワークの最適化

クライアント証明書の部分が大事だと思います。各クリニック毎でクライアント証明書があってそれに基づいて接続ができるのが前提でした。シームレスに個々のサブシステムをコンテナ化できるような、シンプルで保守性の高いネットワーク構成に変更できたと思います。

運用業務の Cloud Build 化

運用業務単位でCloud Buildのトリガを用意することで、業務の標準化ができたと思います。また、VM環境のメンテナンスを不要とし、環境起因でのオペレーション失敗要因を排除できました。 Cloud Build化することによって、手順をチーム内で共有してトライアンドエラーすることによって、何度も繰り返し実行しました。 他のメンバーが使っても違和感なく進めるためにも、ドキュメントを残すことが重要と考え、センティリオンシステムに勉強会という場を設けてもらい、有意義な時間を作ることができたと思います。その結果、他のメンバーや誰がみても保てるようなチーム体制をつくることができましたし、その意識自体がチーム内で統一できていたからこそ、運用業務をCloud Buildで構築できたと考えています。中身は柔軟性が高いものを制作し、チーム内で共有できるように意識した点はとくによかったと感じています。

内製化のためのスキルトランスファー

ステージング環境を理解するとともにアプリケーションの改修、負荷テストなども実行し、問題が発生した際に社内で対応できるような体制を整えることができました。 本番環境の構築は内製で進めましたが、社内に知見がない部分などはセンティリオンシステムに相談しながら進めさせていただきました。

今後の展開

成果として、インフラエンジニアを育成できたことで自社での運用体制が整ってきたと感じています。
他のプロダクトに対する、 Google Cloud の適用などがありウェルネス事業でも Google Cloud 採用が進んでいるため、IaC化を進めています。今回のクラウド電子カルテ事業『きりんカルテ』の成果を幅広く、横展開していきたいと考えています。 ありがとうございました。

事例概要

ウィーメックス株式会社

企業HP:https://www.wemex.com/

顧客の事業分野ヘルスケアソリューション
顧客の事業内容概要国内の「医療DX」を推進するヘルスケアIT製品・サービスを通じて、患者さんへの医療サービス向上と医療従事者の業務効率化に取り組んでいる
センティリオンシステムの役割要件定義、インフラアーキテクチャ設計、インフラアーキテクチャ構築
解決した顧客ビジネス課題某クラウドで構築した既存SaaSの利用料低減のため、 Google Cloud への移行が決定されたが、 Google Cloud のインフラ設計に関して知見が不足
ソリューション既存インフラを調査し、GCPへ移行するためのインフラ設計・構築を行った。単純なリフトのみでなくTerraformとAnsibleでIaC推進、一部IaaSをPaaSにシフトし管理運用コストカット推進、デプロイサーバをCloud Buildへシフト、NASサーバをFileStoreへシフト、ログ収集/管理サーバをCloud Logging + BigQueryへシフト、証明書発行サーバをCloud Buildへシフト、IAPを利用したリモートアクセスに限定しセキュリティ向上推進、サービスアプリケーションを含めたイミュータブルなVMイメージ化とし開発コストカット推進を提案、実現