ヤマハ発動機株式会社 様

事例紹介

Google Cloud を活用したデータ分析基盤の構築 / センティリオンシステムの技術力で効率的なアーキテクチャを実現

ヤマハ発動機では、自社が保有する膨大なデータを新製品の開発や新たな事業創出に繋げるべく、様々なデータを有効活用したいと考えていました。そこで、Google Cloud を活用したデータ分析基盤の構築を決意し、社員がデータを安全かつ効率的に扱うための環境整備に取り組まれていました。

本記事では、ヤマハ発動機のGoogle Cloud を活用したデータ分析基盤の構築事例について、ヤマハ発動機IT本部デジタル戦略部データ分析グループ佐々木氏のお話を交えながら詳しく解説します。なお、記事内で使用している画像は、当社センティリオンシステムの社内資料およびYouTube の「製造業DX を支えるデータ分析基盤構築とその活用( BigQuery によるデータ分析基盤構築)」より抜粋しています。

ヤマハ発動機では、クラウドサービスを活用した自動運転運行管理システムなどのシステム開発や運行データを使った顧客行動分析など、過去にも様々なシステム開発・データ活用の実績がありました。しかし、同社はビジネスをグローバルに展開しているため、顧客情報や製品情報などのデータ量が膨大であり、データ活用における様々な課題が顕在化していました。

同社の課題は、大きく分けて次の 3 つです。

  • データ基盤の役割や位置付けが明確化されていない
  • コンプライアンス遵守のためのデータセキュリティが不十分である
  • データ活用時の調査・検索に大きな工数が掛かっている

1 に関して、同社には複数のデータ基盤が存在していましたが、これらの役割・位置付けが不明瞭となっており、組織全体で適切なアーキテクチャが構築されていませんでした。そのため、データの取り扱いに関する各種ルールも不十分であり、効率的にデータ活用を進めることが困難になっていました。

次に、 2 はデータ活用におけるセキュリティ面の課題です。
適正なアクセス権ルールの整備や法令遵守など、企業としてデータ活用を安全に推進するための仕組みが整備されていなかったのです。
そのため、コンプライアンス遵守が徹底されておらず、この点も同社のデータ活用における大きな課題でした。

最後に、 3 はデータ活用の効率性に関する課題であり、ヤマハ発動機は膨大かつ多様なデータを保有しているため、これらを調査・検索する際に、大きな工数や長い作業時間を要していました。このような作業を効率化することも、同社が取り組むべき重要なポイントの一つになっていたのです。

そして、膨大なデータを分析するためには、製品 IoT データウェアハウスや顧客データウェアハウスをはじめとした、複数のデータウェアハウス( DWH )の統合や高性能な演算性能を有したデータ分析基盤が求められます。また、それらのデータを分析するための機能や分析結果をわかりやすく見える化・共有するためのレポーティング機能も必要になります。

そこで、これらの機能を一元的に搭載し、自社の課題を解決できるデータ分析基盤の構築を決意したのです。これにより、自社が保有するデータを安全かつ効率的に活用し、組織全体におけるデータの民主化を目指しました。


さらに、これまで同社が強みとしていた社員の自由な発想や想像力などにデータを掛け合わせることで、客観性や再現性、合理性など、新たな価値を創出することもプロジェクトの大きな目的でした。

佐々木氏:データ分析基盤のプラットフォームを検討する上で着目した観点は複数ありますが、分析対象のデータを蓄積し供給する機能を担うデータプラットフォームもその一つでした。クラウド上で利用可能なサービスがいくつもある中で、 Google BigQuery はフルマネージドのサーバーレスアーキテクチャのため、インフラストラクチャの管理が不要ですぐに利用開始できます。また、データ量が増加してもスケーラブルな分散型分析エンジンで数テラバイトのデータでも数秒でクエリ実行できるという特徴があります。

これらの特徴から、ヤマハ発動機では、基盤運用とスモールスタートのプロジェクトから、増加し続ける膨大なデータを活用するプロジェクトまでカバーできるスケーラビリティと、データプラットフォームであるGoogle BigQuery を中心として各機能や分析ツールを整備し、データ分析基盤として構築することとしました。

ヤマハ発動機では、 AWS のアプリケーションで生成されたデータを Google Cloud で分析するために、 BigQuery を中心としたデータ分析基盤の構築を始めました。

今回のプロジェクトにおいては、

  • アーキテクチャ整備
  • データセキュリティ
  • メタデータ管理

の 3 つをメインの施策として位置付けており、プロダクト選定やアーキテクチャ設計などに関しては、当社がサポートさせていただくことになりました。また、その提案や設計内容に基づき、正当性を検証するための PoC (概念実証)も実施しています。

佐々木 氏:データ分析基盤を構築することで、これまで各事業の中で閉じた環境で実施されていた現場駆動のデータ分析プロジェクトが、データ分析基盤環境を使用するようになりました。共通の基盤を利用することで、プロジェクト間でのノウハウの横展開が容易となり、基盤機能に対する要望も横展開可能な形で取り込めています。それによって、データ分析の民主化の取り組みで整備している教育コンテンツも取り扱うツールや機能を集約することができ、コンテンツを充実させつつ展開も効率化できています。

また、データ量が膨大で有効に活用できていなかったデータの活用も活発化しており、製品の企画や開発など全てのバリューチェーンで活用されています。今後も増え続けるデータを分析できる基盤として価値創出に活用していきます。

佐々木 氏:Google Cloud の各プロダクトに関する知識とスキルを持ったセンティリオンシステム社と一緒に構築作業を進められたことで、短期間でデータ分析環境の活用を広げることができたと考えています。特に実現したいことに関して、実現方法が不明であったり複数の選択肢がある場合に、クイックに情報収集と要点を整理してもらえたことで、迅速に意思決定ができ構築作業を円滑に進めることができました。

また、構築作業を進めるためのコミュニケーションの中で、基盤構築の目的や目指す方向性、ガバナンスのポリシーを共有しながら構築作業を一緒に進められたことで、異なるテーマを並行して進めながらも一貫性のある基盤を構築することができたと考えています。

ヤマハ発動機株式会社

二輪車やマリン製品などの製造・販売を手がけているヤマハ発動機。年間約 500 万台の二輪車や約 30 万台のマリン製品を 200 以上の国々へグローバル展開している国際的なメーカー企業です。

インタビュイー
ヤマハ発動機株式会社
IT本部デジタル戦略部 データ分析グループ
佐々木 氏

まとめ

本記事では、 Google Cloud を活用してデータ分析基盤を構築したヤマハ発動機の事例をご紹介しました。 Google Cloud によるデータ分析基盤の構築イメージを具体化できたのではないでしょうか?

データ基盤の要件定義から開発、運用サポートまで、一気通貫したコンサルティングを実施しています。また、当社では今回ご紹介したヤマハ発動機以外にも、様々なデータ基盤の構築実績があり、豊富な経験をもとにアドバイスを行うことが可能です。関心のある方は問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

「Google Cloud および Google Workspace は、Google LLC の商標です。」